マーケティング手法は「アウトバウンドマーケティング」と「インバウンドマーケティング」の2つに分けられます。
今回は「アウトバウンドマーケティング」をメインとして取り上げ、
- アウトバウンドマーケティングとは何か
- アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングの違い
- アウトバウンドマーケティングのメリット
- アウトバウンドマーケティングの手段
- アウトバウンドマーケティングに向いている商品
- アウトバウンドマーケティングを行う時のポイント
- アウトバウンドマーケティングの成功事について紹介していきます。
「アウトバウンドマーケティングって何?」という人にも分かりやすく解説しているので、是非最後まで読んでみてください。
アウトバウンドマーケティングとは
アウトバウンドマーケティングとは「商品を提供する側から消費者へと直接アプローチする」マーケティング手法です。
このようなマーケティング手法は「プッシュ型」とも言われています。
「飛び込み営業」や「テレフォンアポイントメント」のような、従来的な営業方法が分かりやすい例でしょう。
インバウンドマーケティングとの違い
インバウンドマーケティングは「消費者側から見つけてもらう」という、消費者を自然に誘導するタイプ(プル型)のマーケティング手法です。
オウンドメディアやSNSを使ってのマーケティングが代表的なものでしょう。
つまり、「消費者側の商品情報の受け取り方が受動的なのがアウトバウンドマーケティング」「消費者側の商品情報の受け取り方が能動的なのがインバウンドマーケティング」ということです。
そのため、インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの両方を、段階に応じて利用していくと良いでしょう。
アウトバウンドマーケティングの現状
アウトバウンドマーケティングは、選ぶ媒体によって影響力が変わってきています。
2021年に電通が発表したデータでは、今まで1番大きい影響を持っていたマスコミ四媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)の合計広告費をインターネット広告費が上回っており、デジタル化の方向に進んでいるといえます。
また、以下のデータを見ると、広告以外のものから商品の購入に至っていたり、他者からの口コミで購入を決めたりする人も増えてきています。
画像のデータ元
https://www.nttdata-strategy.com/assets/pdf/newsrelease/220317/survey_results.pdf
画像のデータ元
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000143.000019180.html
このように、さまざまな情報源の登場や価値観の変化によって、アウトバウンドマーケティング一辺倒で市場を攻めるのは厳しくなってきています。
「アウトバウンドマーケティングを使いながら、さまざまなマーケティング手法と掛け合わせていく」ことが鍵となるでしょう。
アウトバウンドマーケティングのメリット
アウトバウンドマーケティングのメリットは「届けられる人数が多い」と「資金に応じた即効性がある」の2つです。
多くの人に届けられる
アウトバウンドマーケティングの1番の強みは「情報を届けられる人数が多い」ことです。
選ぶ媒体にもよりますが、すでに媒体側が固定の人数を持っているので、最初から全く知ってもらえないということはありません。
また、多くの人は何度も見たことがあるものに親近感を覚えます。
初回では商品の購入に至らなくても、何度も見ているうちに購入までつながるといったことが考えられるので、認知度があまりない場合などには有効でしょう。
ただ、多くの人に届くということは、自社の商品やサービスを届けなくてもよい人、例えば、絶対に商品を購入しない人やターゲット層からズレた人にも情報が届いてしまうということです。
参考にならないクレームやムダな炎上につながるリスクもあるため、広告の掲載や営業を行う場合は、注意しましょう。
資金に応じた即効性がある
マーケティングに対して初めから大きな資金を用意できる会社や個人であれば、アウトバウンドマーケティングは即効性があります。
期間や狙いたいターゲット層によって効果は異なりますが、何も認知がない状態で売り出すよりも確かな成果が見込めるでしょう。
選ぶ媒体によって金額は異なり
- テレビ広告であれば放映料10〜100万円
- 雑誌広告であれば30〜400万円
- リスティング広告であれば1クリック1〜数百円
- 動画広告であれば1視聴5〜200円
がだいたいの相場です。
アウトバウンドマーケティングの手段
アウトバウンドマーケティングで使う手段は、以下の5つが代表的なものとして挙げられます。
1.マスメディア
テレビや新聞などのマスメディアは、代表的なアウトバウンドマーケティングの1つです。
年齢問わずさまざまな人が何気なく見ているものなので、世代関係なくリーチできます。
金額は掲載する場所によって異なりますが、多くの人の目に触れるものほど金額が高くなります。
2.Web広告
先ほども少し触れた通り、検索サイト・Webサイト内にあるWeb広告は、大きな力を持ってきているアウトバウンドマーケティングの1つです。
Web広告には
- 純広告(Webサイト内などにある決まった枠を買って出す広告)
- アフィリエイト広告(成果にともなって報酬を支払う形の広告)
- SNS広告(投稿の間に出てくる広告)
- 動画広告(動画内に挟まれている広告)
など、いくつかの種類があります。
クリック課金・インプレッション課金・エンゲージメント課金・成果保証型課金などの課金方法によってかかる金額が異なるので、どれを選ぶか自社の資金に合わせて考えましょう。
3.ダイレクトメール(DM)
DMとは、宣伝目的で個人または企業宛に送る電子メールやハガキなどの郵送物を指します。
DMの1番のメリットとしては「費用と時間が節約できる」ことです。
メールであればコストはほぼかかりませんし、テンプレートを作っておけば一括で送信できます。(ただ、内容や装飾に凝ればコストや時間もかかってきます。)
4.展示会
展示会は、商品の販売者と購入者(バイヤー)が商談を行ったり、同業種だけでなくさまざまな業種の人々と意見交換をしたりする場です。
そのため、
- 興味のある層を集めてアプローチできる
- ブースを構えること自体が宣伝になる
という2つのメリットがあります。
展示会を訪れるバイヤーたちは「良い商品があれば購入しよう」という意欲を持っているので、効率的なアウトバウンドマーケティングの手法と言えるでしょう。
5.営業電話(テレアポ)
営業電話(テレアポ)は「アウトバウンドコール」ともいわれるもので、用意された営業先リストに電話をかけ、商品に興味を持ってくれた営業先と商談の約束を取り付けます。
電話をかける側には、話し手としてだけでなく聞き手としての能力も求められるため、総合的な営業力が試されます。
声色や会話の間(ま)から感情を読み取り、良い反応と悪い反応のどちらであっても負のイメージを持たれないようにしましょう。
アウトバウンドマーケティングに向いている商品
アウトバウンドマーケティングにも向いている商品と向いていない商品があります。
こちらでは、アウトバウンドマーケティングを使うと効果的な商品について解説します。
期間限定のもの/新商品
- キャンペーンや季節限定の商品などの、一定期間を終えるとなくなってしまうもの
- 新しく売り出した商品
などは、その瞬間に認知される必要があります。
知られていない商品を多くの人に認知してくれるため、アウトバウンドマーケティングが有効です。
ある程度の認知はあるが、より認知度をアップさせたい商品
ある程度の成果は出ているが
- もっと多くの人にアピールしたい
- 現在のマーケティング手法では届かないユーザー層がいる
といった商品にも、アウトバウンドマーケティングが向いています。
どれだけ優れた商品であっても、使っている宣伝方法や載せている広告媒体によっては本当に必要としている人に情報が届かない場合があります。
広く浅く情報を届けて、反応があった層に再営業をかけるなどもできるので、認知度をアップさせつつ営業に役立つデータを集めましょう。
アウトバウンドマーケティングを行う時のポイント
ここまでアウトバウンドマーケティングのメリットや手段について解説しましたが、実際に行うときにはどのような点に注意すべきなのでしょうか。
全てのアウトバウンドマーケティングに共通して意識すべきポイントは「ユーザー目線に立つ」と「データを活用する」ことです。
対象となるユーザーのことを考える
マーケティングにおいて「ユーザーを想像することは重要」ですが、特にアウトバウンドマーケティングにおいては、重要性がより増します。
アウトバウンドマーケティングは商品を提供する側から営業をかけるため、強引なセールスとして捉えられてしまう可能性があります。
そのため「ユーザーの目線に立ち、今1番ユーザーが求める商品は何なのか」を常に考えておかなければいけません。
本当に商品を必要としている相手であれば、多少強気な営業であっても「そこまで自信がある商品なら1度使ってみようかな?」と思わせられるでしょう。
ただ必要以上に考えすぎてしまうと誰のためにもならない営業になってしまうので、ユーザーのニーズを探りながら進めていきましょう。
データを活用
さまざまな企業活動で得られたデータを活用することも大切です。
例えば、
- 年齢や世代
- 住む地域(住所)
- 家族構成
- 世帯年収
などは代表的な顧客データです。
そのほかに
- 商品を知った情報元
- リピーターかどうか
なども例として挙げられるでしょう。
アウトバウンドマーケティングが多くの人に認知されるからといって、ただ闇雲に行っていいというわけではなく、需要がありそうなターゲットに絞ることで効果を最大化できます。
先ほど説明した「対象となるユーザーを考える時」などは特に効果的です。
労力をかけた分だけ成果が得られるようにデータを活用しましょう。
アウトバウンドマーケティングを使った成功事例
こちらでは、アウトバウンドマーケティングを使って成果を上げた企業を3つ紹介していきます。
エーザイ株式会社
エーザイ株式会社では、テレビCMと動画広告を使ったアウトバウンドマーケティングで成果を上げています。
方法としては、テレビCMで商品を知らなかった層のリーチを獲得し、動画広告を使ってターゲットを絞った宣伝をする、というものです。
その後、獲得したターゲットの好みごとに広告を作り、より興味関心を持ってもらえるようにしました。
結果として、リーチ数や商品の検索数が増加し、大きな認知度や売上のアップにつながりました。
オイシックス
オイシックスは、Twitter広告を使ってのアウトバウンドマーケティングで成功を収めています。
具体的には、商品を購入したことがない人に向けて、お試しセットを宣伝するという方法です。
配信する時間帯やターゲットの思考などを深く考え、効果的な人に欲しい情報が届くような取り組みがなされています。
日本航空(JAL)
日本航空は、Instagram広告を使って企業の認知度とブランドイメージの向上に成功しています。
ラグビー日本代表とコラボし、選手が飛行機での移動中という設定の遊び心に溢れたストーリーズ広告を作成し、「挑戦する人を応援する企業」というイメージをつけました。
結果として1000万人以上にリーチをひろげ、多くの人の目にとまる広告となっています。
まとめ
今回はアウトバウンドマーケティングについて解説しました。
一言でアウトバウンドマーケティングといっても、広告や営業電話など方法は多岐にわたります。
商品やターゲットに合わせた方法を選ぶことが重要です。
また、アウトバウンドマーケティングは、ただ資金を投じれば良いというマーケティング手法ではありません。
きちんとターゲットを絞ってこそ資金に見合った効果が得られるマーケティング方法です。
- 自社商品の1番の価値は何か?
- どんな人が買ってくれるのか?
- 商品を通して伝えたいメッセージは何か?
など、自社の強みや顧客のことを考え抜いた上でアウトバウンドマーケティングを行いましょう。