オウンドメディアを運営するうえで気になるポイントといえば「費用」ですよね。
本記事では、オウンドメディアの象徴とも言える「SEOコンテンツをメインとしたオウンドメディア」を例に挙げて
- オウンドメディアにかかる費用の相場
- オウンドメディアの費用対効果
- オウンドメディア運営で費用がかかる項目
- オウンドメディアの費用のかけ方とそれぞれの運用方法
- オウンドメディアの外注費用で注意すべきポイント
について解説していきます。
オウンドメディア制作費用の相場を把握しておかなければ、予算以上に費用がかかったり、外注した際の目安が分からなかったりします。
最後まで読んで、オウンドメディアの予算について理解しておきましょう。
オウンドメディアにかかる費用の相場
外注するかしないかにかかわらず、オウンドメディアを1から制作する、または既存のオウンドメディアをリニューアルする場合、初期費用として「100〜300万円の費用」がかかるのが相場です。
また、体制を維持したり、新しくツールを導入したりするとなると、「月額で1万〜10万円」程度の追加費用がかかります。
オウンドメディアの費用対効果
オウンドメディアに費用をかけるときに気になるのが「費用対効果」ですよね。
こちらでは、費用対効果を考える前に知っておくべきことや目的ごとの算出方法などを解説していきます。
費用対効果を考える前に
費用対効果について考える前に「オウンドメディアの費用回収のスピード」について知っておきましょう。
オウンドメディアで費用回収するにはかなり時間がかかり、スピード的にはある地点を境に一気に加速する、反比例のグラフをイメージしてもらうと分かりやすいです。
そのため、オウンドメディアでの費用回収は焦らないことが大切です。
目的によっては費用対効果の算出が難しい場合もあるため、下記の3つの目的の中でどれに当てはまりそうかを確認しておきましょう。
目的が「リードの獲得」だった場合の費用対効果
リードとは、利益につながる「きっかけ」や「手がかり」になるものです。
オウンドメディアでは、販売サイトやメルマガへの集客といった売り上げにつながりそうなものを指します。
リード獲得が目的の場合、現在行っているリード集客方法(リスティング広告や純広告など)の費用とオウンドメディアのリード集客費用を比べて、どちらが1人集めるための費用がかかるのかを見ましょう。
「オウンドメディアでの費用<現在の集客方法での費用」となれば、オウンドメディアの費用対効果は高いといえます。
例えば、現在月10万円をリスティング広告に支払っていて毎月100人を集めていたとしましょう。
リードを1人獲得するのにかかる費用は1000円です。
オウンドメディアの運用を開始してしばらく経った後、一旦リスティング広告を止め、同じ月10万円をオウンドメディアの毎月の運営費に使うようにします。
もし101人以上を集めることができれば、1人当たりの金額は安くなり、オウンドメディアの費用対効果が高いことになります。
目的が「採用」だった場合の費用対効果
目的が採用だった場合、オウンドメディアを使って採用につながった人数がどのくらい増えたのかを確認することで費用対効果を算出できます。
例えば、今まで就活サイトに1ヵ月50万円かけていて、採用人数が1人だったとしましょう。
つまり、就活サイトでは1人につき50万円かかっています。
一方で、オウンドメディアに1ヶ月150万円かけたことで、採用人数が5人になったとします。
結果として、オウンドメディアでは1人につき30万円しかかからないので、オウンドメディアの方が費用対効果が高いといえるでしょう。
ただ、リード獲得が目的のオウンドメディアと異なり、既存の採用メディア(就活サイトや採用サイト)で少し認知した人が詳しく内容を知るためにオウンドメディアを訪れることも多いため、単純に算出することはできません。
「採用サイトでの興味を持たせる→採用オウンドメディアに誘導して知識を深めさせる→求人に応募してもらう」という流れもあるので、併用して使うと良いです。
採用オウンドメディアについては、こちらの記事で詳しく解説しているので、メリットや運営方法が気になる人はチェックしてみてください。
目的が「ブランディング」だった場合の費用対効果
こちらの場合、費用対効果を算出するのは難しいです。
「ブランディング」は抽象的な概念で、人数や費用といった数字での比較ができません。
ブランディングできたという指標を何におくかによって効果を測定する方法は異なりますが、一般的には「オウンドメディアを始めてから売上がアップしたか」を目安にすることが多いでしょう。
例えば、月間売り上げが300万円の企業が、オウンドメディアを始めてから月間600万円の売り上げを出せるようになれば、オウンドメディアでのブランディングの効果が出ているといえます。
オウンドメディア運営では何に費用がかかる?
オウンドメディア運営には、さまざまな面で費用がかかります。
こちらでは、構築〜分析までの段階で費用(社員の給与以外)がかかる項目を紹介します。
戦略設計とマーケティング
戦略設計とマーケティングは、オウンドメディアを作る前の段階の作業です。
- 競合がどのようなデザインや運用方法をしているのか
- 自社のオウンドメディアにどのようなイメージを持ってもらいたいか
- どのような導線で目的につなげるのか
- メインキーワードは何にするのか
といったことを決めていく作業が例として挙げられます。
自社で行う場合、追加費用はかかりませんが、上記のような作業を外注する場合は、コンサルタント代がかかります。
システム構築とWebデザイン
システム構築とWebデザインは、オウンドメディアの土台となる枠組みを作る作業です。
ドメイン代やサーバー代、WordPressのようなCMSなどのシステムの基となるアイテムを導入する費用に加えて、オウンドメディアの動きを作るコーディングといった作業に費用がかかります。
コンテンツ作成
コンテンツ作成を自社で行う場合は、費用がかかりません。
しかし、自社で作成しない場合は、外注費用がかかってきます。
- クラウドソーシングを使って個人に依頼
- SNSや企業サイトを使って個人に依頼
- コンテンツ作成を担う企業に依頼
のどれを選ぶかによって費用は異なりますが、1コンテンツにつき千円〜数万円が大体の相場です。
分析
コンテンツを公開した後は、集客数や離脱した場所などを分析する作業が必要です。
自社で行う場合は、分析ツールの購入費がかかります。
外注する場合は、1回のみの分析/継続した分析/分析+改善策の提案の3パターンで費用が異なります。
コンテンツ更新
コンテンツを公開してしばらく経つと、情報が古くなっていたり、検索で上位表示されなかったりすることがあります。
その場合、「リライト(情報の更新や追加、構成の再作成を行う作業)」が必要です。
リライトにかかる費用は、コンテンツ作成費と同じくらいで、千円〜数万円が相場ですが、原因の分析とセットで行う場合は少し高くなります。
運用代行
上記で紹介した項目を全て、または一部を外注する場合、「運用代行費」と呼ばれる費用がかかります。
業務の範囲は個人や会社ごとに異なるため、どの程度まで代行してくれるのかを確認しながら費用の比較をしましょう。
ツールなどの導入費に加えて、コンサルティング費用などが必要です。
オウンドメディアの費用のかけ方8パターンとそれぞれの運用方法
オウンドメディアの費用を考えるには、運営側の状況を考慮する必要があり、「費用」「社内リソース」「オウンドメディア運用の知識」という3点が重要な項目です。
具体的にいえば
- 費用を「抑えたい」or「かけてもいい」
- 社内リソースが「足りている」or「足りない」
- オウンドメディア運用の知識が「ある」or「ない」
のどれを選択するかの掛け合わせによって、変わります。
ここからは、それぞれのパターンで費用のかけ方と運用方法がどのように異なるのかを解説していきます。
パターン1:抑えたい×足りている×知識がある
パターン1では、オウンドメディアの業務を全て自社内で完結できます。
そのため、費用がかかるのは、
- オウンドメディアを構築する際にかかる費用(サーバー代など)
- 効果を最大化させるツール(ヒートマップなど)の導入・維持費用
となります。
運用方法としては「①自社内で運用→②得られた利益で一部作業を外注」という流れで行うと、余った社内リソースを戦略や分析、別メディア(SNSなど)の運用に割けるでしょう。
パターン2:抑えたい×足りている×知識がない
パターン2のように、費用があまりかけられず、社内の人材が足りていても知識がない場合は、初期段階の投資費用が増えるでしょう。
社内リソースが足りているということは、その人材を育てれば「外注先に割いているコストがかからなくなる」ということです。
オウンドメディアの構築費用に加えて、社内人材を育成するための費用(教材費や外部人材の雇用費など)をかけて、パターン1の状態に近づけることを目指します。
人材育成に成功すれば、「別のオウンドメディアを作ることになった際に外注せずにすむ」というメリットもあります。
パターン3:抑えたい×足りない×知識がある
パターン3の場合、かかる費用としては、コンテンツを書くライターやシステムを作るエンジニアなどへの外注費が中心になります。
人員が不足している部分だけを外注し、社内の知識がある人を中心とした運用チーム作りを進めていきましょう。
その後は、社内リソースのみでオウンドメディアを運用したい場合は採用を、外注先との継続的に運用したい場合はポイントを絞って費用を削減することを強化していきます。
パターン4:抑えたい×足りない×知識がない
費用も少なく、人員も足りず、知識がない、という三重苦のパターン4だと、初期費用が必要なSEOのオウンドメディア運営はかなり厳しいです。
そのため、「人数が少ないながらも勉強しながら進めていく」方法と「SEOは諦めて、SNSなどの初期費用があまりかからないオウンドメディアに注力する」方法の2種類のどちらかから選びましょう。
パターン4は、知識がない段階からスタートしているため、結果が出るまでにはかなりの時間がかかることを覚悟する必要もあります。
パターン5:かけてもいい×足りている×知識がある
費用も人材も知識も充実している、パターン5は珍しい状況です。
自社内でオウンドメディアを構築・強化できるので、外注をしなくてもすみます。
ですが、費用をかけられるのであれば、社内の知識がある人よりも専門性が高い人材を招くなどして、競合との差を広げられるようにしましょう。
パターン6:かけてもいい×足りている×知識がない
社内に知識だけが不足している場合、オウンドメディアの運用を丸々外部に発注するのが最も楽な方法です。
ただ、社内リソースが残っている状態なので、勉強会への参加や教材の購入などをして社内人材をスキルアップさせるような投資をしていきましょう。
短期的に見れば、遠回りしているように感じるかもしれませんが、中長期的に考えれば社内で運用できるようになるので、メリットが大きいです。
パターン7:かけてもいい×足りない×知識がある
パターン7では、知識がある人をリーダーとしたチームを作ることになります。
パターン3と似ていますが、費用がかけられるので、多くの優秀な人材にアプローチしてコンテンツを量産することができる、という点で異なります。
ライターへの外注であれば、文字や1記事あたりの単価が高かったとしても雇用できるでしょうし、ディレクターへの外注であれば、優秀なライターとつながりがある人へ依頼できるでしょう。
パターン8:かけてもいい×足りない×知識がない
この場合は、オウンドメディアの構築〜分析までを全て外注すると良いでしょう。
費用としては、初期費用が100〜300万円、コンテンツの作成や更新などの維持費用が月3〜10万円、くらいが目安になります。
以上のまとめをご覧ください。
●費用を抑えたい場合 | |||
社内リソース | |||
足りている | 足りない | ||
オウンドメディア運用の知識 | ある | ①自社内で運用 ②得られた利益で一部作業を外注 | ・コンテンツを書くライターの外注 ・システムを作るエンジニアを外注 (人員が不足している部分だけを外注) |
ない | ・オウンドメディアの構築を外注 ・社内人材を育成 | ・SEOは諦め、SNSなどの初期費用があまりかからないオウンドメディアに注力 ・人材が少ないながらも社内で勉強しながら運営 |
●費用をかけてもいい場合 | |||
社内リソース | |||
足りている | 足りない | ||
オウンドメディア運用の知識 | ある | 知識がある社内の人により、専門性が高い人材を選び活用 (競合との差を広げる) | 専門性が高い人材を積極的に活用して運用 |
ない | ・専門性が高い人材を積極的に活用して運用 ・社内人材を高度に育成 | オウンドメディアの構築〜分析までを全て外注 |
オウンドメディアの外注費用で注意すべきポイント
上記で、社内リソースや知識の部分に不足がある場合、外注する必要があり、費用がかかることを説明しました。
しかし、何も考えずに外注先へ費用を使ってしまうと、結果的に損をする可能性もあります。
こちらでは、外注に費用を使う際に注意すべきポイントを2つ紹介していきます。
費用が安くつく場合はクオリティが担保されない可能性がある
「外注するのであれば、出来るだけ費用を安くすませたい」と考える人がほとんどでしょう。
しかし、費用の安さを理由に外注先を決めてしまうと、理想とするクオリティにならないことがあります。
例えば、単価が低いライターと高いライターを比べたとき、多くの人に評価されている後者のほうが知識や文章のクオリティで優れていることが多いです。
ただ、実績例やポートフォリオを確認することで能力を比較できるので、費用と一緒に確認しておきましょう。
複数の会社や個人から見積もりを出してもらう
外注する際は「複数の会社から見積もりを取る」ようにしましょう。
1社だけから見積もりを出してもらうだけだと、費用感や請け負ってもらえる業務の範囲などが比較できません。
3つ以上の会社や個人を比較し、費用と工程を確認してから、自社オウンドメディアに合うところを探しましょう。
まとめ
本記事では、オウンドメディアの費用に関して解説しました。
オウンドメディアを運用するためには費用をかける必要があり、結果を出さなければその資金は無駄になってしまいます。
オウンドメディアに対して費用をかけるほど効果が出るというわけではありませんが、社内リソースやノウハウを考慮しながら、上手く費用を使うようにしましょう。