採用サイトで閲覧数の多いページとは?アクセス解析から分かる採用戦略
大手企業に限らず、自社の情報を発信する場所として採用サイトを開設する企業が増えています。
しかし、制作したもの期待する成果が見られなかったり、思うような人材採用に繋がらないといったお悩みも多く聞きます。
採用サイトにおいて重要なのは、企業ファーストではなく求職者ファーストのコンテンツ作りです。
求職者ファーストの視点に立てば、何が採用サイトに必要なのか浮き彫りとなってアクセス数の増加に活かせます。引いては優秀な人材獲得にも繋がるでしょう。
本記事ではそんな求職者のニーズに沿った採用サイトについて解説していきます。
採用サイトの一般的なコンテンツ
企業が人材を募集する上で、もっとも求職者の目に触れる場所は採用サイトです。今や多くの企業が採用サイトを開設し、求職者に情報を発信するようになりました。
採用サイトの一般的なコンテンツとしては
- 募集要項
- 求める人材
- 企業理念
- 代表メッセージ
- 業務内容
などが挙げられます。
いずれも企業目線では欠かせない情報ですが、実際に利用する求職者にとっては各コンテンツの重要度が異なります。
採用サイトを運営する際には、企業目線と求職者目線に違いがあるということを認識しなければいけません。
採用サイトにおける各コンテンツのアクセス数ランキング
求職者がどんな情報を必要としているかは、採用サイトにある各コンテンツのアクセス解析から読み取れます。
採用サイトによって多少順位の変動はありますが、おおむね以下のコンテンツは求職者によく見られています。
採用サイトにおけるコンテンツの閲覧数ランキング
1位:募集要項
2位:仕事内容・社員インタビュー
3位:よくある質問
4位:福利厚生
5位:数字で見る○○
応募に必要不可欠な募集要項をはじめとして、外部からはわからない職場環境や社内風土などに高い関心が集まっていることが分かります。
採用サイトによくみられる間違いとは?
採用サイトは一般求人サイトとは違い、求職者に向けた自由なアピールができるWebサイトです。
そのため、採用戦略を踏まえた制作を行なわないと無意味なコンテンツや表現に投資をしてしまうことになります。
求職者目線でなく企業者目線で設計され採用サイトというオウンドメディアを活かせていない企業はしばしば見かけます。
では具体的に採用サイトではどのような間違いがあるのか、例を挙げていきます。
求職者のニーズを満たしていない
採用サイトはともすれば、企業が自社をアピールする場になってしまいがちです。しかしアクセス解析の結果を見れば、求職者のニーズが別のところにあるのがよくわかります。
募集要項の次に仕事内容や社員インタビューといったコンテンツにもアクセスが多い理由は、その企業へ就職した自分をイメージしたいという求職者のニーズが想像できます。
求職者目線に立って必要な情報を網羅し、その上で各コンテンツを構成することが採用サイトにおいて最も重要です。
企業の一方的な思いだけでコンテンツを制作しないように気を付けましょう。
情報量が少ない
採用サイトを閲覧する求職者は、求職意欲が高いと言えます。
なぜなら、求人媒体で掲載されている求人情報を見て、検索エンジンから直接企業の採用サイトへ訪れるパターンが多いためです。
わざわざ採用サイトに訪れたのに求人媒体に掲載している内容と差異がなかったり、会社の雰囲気が伝わる独自のコンテンツがなければエントリーには繋がらないでしょう。
募集要項をはじめとした求人媒体で掲載されているコンテンツに加えて
- キャリアパス
- 教育体制
- 給与体系
- 昇給・評価制度
- 労働時間・休暇
- 社風や文化
- 家庭との両立方法
- 選考プロセス
といった採用サイト独自のコンテンツを充実させることが大切です。
求める人物がありきたり
求める人物像が企業目線になっていませんか?
会社のビジョンを社員と共有することは大切ですが、同じようなタイプの人材ばかりが集まっても企業の成長スピードは上がりません。
また業種や業態、役職によっても求められる役割は異なります。よくある「リーダーシップがある」「前向きで明るい」といったありきたりな人物像ではなく、自社にとって本当に必要な人材はどういったタイプなのかを多角的に考える必要があります。
派手な演出やデザインで、動線が分かりづらい
求職者が必要としているのは企業の情報です。
採用サイトは企業のイメージにも繋がるため、目をひくファーストビューやデザイン設計はもちろん重要ですが、そればかりにこだわって内容が伴っていなければ意味がありません。
最も重要なエントリーへの動線が機能していなかったり、募集要項や求職者が知りたい情報へ辿り着けないような過度な演出は不要です。
予算が限られている場合は、見た目の演出よりも求職者が必要とするコンテンツの内容に投資したほうが良いといえます。
採用コストの削減を目的としている
大手企業であれば採用サイトへの直接のアクセス流入が見込めますが、ある程度知名度がない限りは転職サイトや求人媒体を経由して採用サイトへ訪れる求職者が多いです。
採用サイトへ社風や具体的な雰囲気を知るためにアクセスし、エントリーは求人媒体を通して行われるパターンもあります。
そのため、採用サイトを制作することで求人媒体への掲載コストを削減しようとする考えは安易だと言えます。
長期的に見た場合に会社のブランディングとなり採用サイトが独立して認知される場合もあります。しかし、採用コストの削減を目的としたサイト制作ではなく、より自社を理解した求職意欲の高い人材とのマッチングを目的として採用サイトの企画設計を行うことが重要です。
採用サイトで強化すべきコンテンツ
採用サイトに求められるニーズを解説していきましたが、ここからはそれを踏まえたコンテンツの強化についてご紹介していきましょう。重要なポイントに絞って、コンテンツを強化した時の利点についても触れていきます。
募集要項
募集要項はアクセスがもっとも多いコンテンツなので、可能な限り多くの情報が必要です。
採用サイトには具体的かつ詳細な情報を記載しましょう。現在募集している職種はどういったものなのか、それぞれの職種でどんな人材が求められているのか。募集要項ではっきり明示することで、本当に必要とする人材にアプローチできます。
平均残業時間や休日日数、有給休暇取得率も重要な情報です。具体例を盛り込めば、求職者が自分の働く姿をイメージしやすくなるでしょう。
仕事内容・社員インタビュー
実際に働く社員の生の声に触れる貴重な情報なので、仕事内容と社員インタビューは募集要項と同じくらい重要です。
仕事内容には職種ごとの作業や役割、担当範囲などの普段行っている業務を具体的に記載しましょう。募集要項を補足する内容であれば、求職者の理解が深まります。
社員インタビューは各職種の中から、求職者に近い若手社員、業務をよく知るベテラン社員などの幅広い社員を紹介しましょう。さまざまな役職、年齢の社員にフォーカスを当てることで、無機質な情報の羅列ではなく実体を伴った生きた情報となります。
よくある質問
いわゆるFAQです。よくある質問に力を入れる理由は2つあります。
理由の1つはよくある質問と解答の明文化によって、求職者がエントリー前に抱く疑問や不安な点を、効率的に払拭できることです。
もう1つの理由は、質問と解答をあらかじめ用意しておくことで、企業側の負担軽減を狙えます。些細な内容であっても、問い合わせが相次げば業務に支障を及ぼすので、よくある質問は強化すべきです。
福利厚生
働き方改革や新型コロナ禍以降のニューノーマル化が進む現在、福利厚生は重要なポイントです。
業務内容も給与も同程度の企業がある場合、求職者にとって働きやすい環境であるかどうかが最後の決め手になり得ます。
たとえばスキルアップや資格取得支援、日々の通勤手当です。これらは業務に関連して注目されます。ほかには健康診断の実施や医療費補助、託児所・保育施設の有無、災害時の見舞金なども大事です。
社員の個別の事情に寄り添い、ワークライフバランスを実現できるかどうか。実際に利用した社員の声とともに、どんな福利厚生制度があるのかをわかりやすく紹介しましょう。
キャリアパス
キャリアパスを強調することで、求職者が就職した後のキャリアを明確化し、キャリアアップへの目的意識を持たせることができます。
求職者の中でも特に、新卒の求職者はキャリアアップの道筋を具体的にイメージするのが困難です。採用サイトにキャリアパスが掲載されていれば、それが一定の指針となって実際に就職した時のモチベーションに繋がります。
入社後何年でどんな業務を任せられるのか、どれくらい給与が上がるのか……など、わかりやすい例があるのが好ましいです。
採用サイトのコンテンツ例
採用サイトのコンテンツについてご紹介していきます。
各コンテンツでどういった点に注力しているのか、どのようにエントリーページへの動線が組まれているのか、実例を踏まえて参考にしてみてください。
募集要項
勤務地や給与、求める人材などが簡単に記載されているだけでは、せっかく採用サイトを制作しても期待した効果を得られないことがしばしばあります。
こちらの採用サイトでは職種ごとに専用ページが設置されています。具体的な仕事内容や職種ごとの求める人材、給与や勤務時間などそれぞれの内容に具体的に言及しています。
たとえばセールスプランニングでは、法人向け営業としてホームページの製作から改善策の提案、進捗の管理まで行っているのが一目瞭然です。
数字で見るコンテンツ
採用サイトに掲載する情報の中でも、社員の男女比や平均年齢、年間休日、有給休暇の取得率といった内容は数字の羅列が多くなってしまいます。
そこで、インフォグラフィックを用いて情報をまとめ、あらゆる情報を視覚的に理解することができ、求職者に短時間伝えることができます。
例のサイトではグラフと数字に動きが与えられているため、情報量の多さに反して直感的にわかりやすくなっています。
こういったインフォグラフィックはSEO対策としても有効です。採用サイトが検索上位に表示されれば、より多くの求職者に訴求できます。
仕事内容・社員インタビュー
セールスプランニング、ディレクター、デザイナー、フロントエンジニアの4つの職種で個別にインタビューを行い文章に起こしています。
Webライティングは本人が語る口調で、求職者に想いを伝えるような構成です。
対談形式やインタビュー形式などあらゆる表現方法が可能で、求職者のターゲット層に合わせた表現手法を用います。
インタビューページでは個人の経歴、入社までの経緯、就職後に実際起きた仕事中のエピソードなどが満載です。
単なる業務紹介に終始せず生の声が反映されているので、より社員を身近に感じられるでしょう。
あわせて1日の流れが掲載されているため、フレックスタイム制の勤務状況がよくわかるようになっています。
よくある質問
よくある質問のページは、余計な情報を廃したシンプルな作りです。
求職者の持つよくある質問はほとんどの場合、疑問点・不安点の解消が目的なのでシンプルな形式のほうがニーズに合致しています。
ただ質問内容に回答するのではなく、社員を尊重した会社の考え方やワークライフバランスなど、追求する会社の想いや理念を伝えるライティングも重要です。
こうしたよくある質問に垣間見える企業姿勢は、少なからず求職者に好印象を与えるでしょう。
福利厚生
福利厚生のページも会社によっては情報量が多くなるため、文章を羅列しただけでは伝わりづらいデザインになってしまいます。
サンプルサイトの福利厚生のページは項目を分けてアイコンを使うなど視覚的にも理解しやすいレイアウトにしています。
福利厚生が会社のすべてではありませんが、長く働く上で魅力的な部分となり求職者にアピールできるポイントとなります。
まとめ
採用サイトも制作して終わりではなく、継続的な運営で効果を生み出すものです。アクセス解析などを踏まえて効果を検証し、必要ならコンテンツを改善しなければいけません。
一般求人媒体とは異なる独自のコンテンツを制作することができるので、求職者の関心が高い情報を網羅した上で求人サイトとの情報を差別化する内容を戦略的に制作していきましょう。
鍵となるのは、求人サイトにはない詳細な仕事内容、社員インタビューや福利厚生、キャリアパスといった「就職後の自分」をイメージできるコンテンツです。
優れた採用サイトを一朝一夕で実現するのは困難ですが、マトレルでは採用サイトの制作も幅広い実績があります。
各コンテンツ企画設計から写真撮影、インタビューコンテンツの取材・ライティングまで幅広く対応できますので、まずはご相談ください。