ユーザーの動向をどのくらい注視して、Webサイトの構成を考えていますか。
ユーザーを誘導するための「導線」を置くことは非常に重要です。しかし、その必要性はわかっていても、実際どのように設置すべきなのか正しく理解している方は多くないでしょう。
「導線」「動線」にはまったく別の意味があります。違いをおさえて適切に理解し、分析を行うことでサイト改善が効率的に進められるでしょう。
ここでは、役割の違いや、設計と分析に重要なポイントをくわしく解説します。
サイトの「導線」と「動線」の違いとは
導線と動線は、似ているようで意味は異なるので区別しておく必要があります。
- 導線
- 動線
についてどのような役割を担うのか、それぞれ解説していきます。
導線 | ユーザーを目的地まで誘導するための経路 | 制作する前に設計する |
動線 | ユーザーが実際に辿った経路 | 制作した後に分析する |
導線とは何なのか
インターネット上にはさまざまなサイトが存在し、情報が無数に存在します。
もし訪れたサイトの導線が複雑で、どこに何が書いてあるかわかりづらかったら、目的を達成する前にサイトを早々に離脱してしまうでしょう。
サイトはユーザーにとってわかりやすく、シンプルな構成にしておく必要があります。
より多く閲覧してもらうためにも、想定される経路に沿って、適切なコンテンツを用意しておくことが重要です。
詳しくは「サイト設計とは?設計前にチェックしたい項目や具体的な手順を解説」の記事を
ご参考にしてください。
動線とは何なのか
より効果的なサイトの導線設計を行うには、サイトの動線を注視しておくことが必要になります。
理由は、ユーザーの動きを可視化することで、導線設計の段階における新たな課題が発見できるからです。
動線とはユーザーが訪問したとき、実際に辿られた経路になるため、サイト流入時には「どのような動きをしていたのか」が把握しやすくなるでしょう。
これを把握することによって、問題点がより明確になります。
また、
- 導線を設計
- 実際の動線を分析
- 導線の問題点をあぶりだし
- 再度導線を設計し直す
を繰り返し行うことによって、さらなる改善へつなげられます。
このように継続して分析することが、ユーザーの利便性が考慮された質の高いサイトになるのです。
サイト導線の設計に重要な5つのポイント
Webサイト制作において、導線の設計は大きな役割を担います。
ここではとくに重要な
- ペルソナの分析とカスタマージャーニーマップを作成する
- KPI・KGIを設定する
- ランディングページを最適化する
- ナビゲーションを効果的に活用する
- PDCAサイクルを回し改善を行う
以上、5つのポイントを詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
ペルソナの分析とカスタマージャーニーマップを作成する
導線の設計には、ユーザーがサイト上でどのような行動を取るのか、またはどのような行動を取って欲しいのかをあらかじめ想定しておく必要があります。
そのため、Webサイトを制作するにはユーザー視点で考えなければなりません。
ユーザー視点で考えるためには、ペルソナの分析とカスタマージャーニーマップを活用するのが効果的です。
ペルソナ設計は、
- 年齢
- 性別
- 職業
- 役職
- ライフスタイル
などから、Webサイトに訪れてもらいたいユーザーを定義し、ペルソナを設計します。
ペルソナ設計をすることによって、どのような情報が求められているか、Webサイトをどのように回遊するのかが想定できます。
カスタマージャーニーマップは、ユーザーが商品・サービスを認知してから購入(ゴール)に至るまでの購買プロセスにおいて、動機や思考、感情などを時系列に可視化したものです。
- 商品やサービスの認知
- Webサイトへ訪問
- 情報の獲得
- 商品やサービスの購入
など、ユーザー行動の可視化によって、Webサイト内の導線を具体的に改善していきます。
KPI・KGIを設定する
KPI・KGIを明確にしないまま導線設計をしても、なかなか効果が得られないかもしれません。
理由は導線設計を終えた後、その目的がしっかりと実現できたかどうかをチェックできないからです。
数値化して指標を立てておかないと、導線設計が成功しているかどうかの判断は、どんぶり勘定になるでしょう。
サイトによって求める指標は異なります。
- 商品を購入してもらう
- 会員登録してもらう
- 資料請求してもらう
- メルマガ登録してもらう
などゴールはさまざまです。
KPI・KGIを明確にし、サイトへ訪れたユーザーを効率よくゴールに導くことを心がけましょう。
詳しくは「オウンドメディアでKPI・KGIが重要なのはなぜ? 意味や2つの違いを解説」の記事をご参考にしてください。
KGI (Key Goal Indicator) | 重要目標達成指標 | オウンドメディア運用によって、最終的に得たい成果指標 |
KPI (Key Performance Indicator) | 重要業績評価指標 | 最終的な成果(KGI)に至るまで、マネジメントする中間指標 |
ランディングページを最適化する
Webサイトの中でとくに重要なページがランディングページです。
ユーザーは、はじめに見たサイトページのファーストビュー(最初の画面に表示された情報)から得られる情報を「約3秒」で把握し、そのサイトが有益であるか判断すると言われています。
そのため、ランディングページには、ユーザーが求めている情報のキーワードがきちんと含まれ、見やすい配置・デザイン・適切な情報量になっていなければなりません。
そのページが有益な情報であると判断してくれたとしても、ページ内で次のアクションが設定されていない場合、ユーザーは自然に離脱してしまいます。
そのため、ランディングページではユーザーへ次に取るべき行動を、わかりやすく明示しておくことが重要です。
目立ったリンクボタンやグラフィカルなイラストを使ったメニューなど、目を引く情報が配置されることでユーザーの遷移を促進させます。
サイト内のページから、トップページへ戻るために必要なリンクを用意しておくことも忘れずに行ってください。
ユーザーがもしサイト内で迷ってしまっても、最初からやり直せるためです。
詳しくは「ランディングページ(LP)費用対効果の高いリニューアル方法とは」の記事をご参考にしてください。
ナビゲーションを効果的に活用する
ナビゲーション設計にはWebサイトにどのようなカテゴリが存在するかをユーザーに一目で分かるように伝えたり、Googleのクローラーにも伝える役割があります。
このナビゲーション設計によってSEOにおいても大きく影響しますので、正しく理解して設計しましょう。
また、ユーザーに必要な情報へ辿り着かせるには、ユーザー視点に基づいたナビゲーションの設定が求められます。
グローバルナビゲーション | ・メニューの項目数は5~9つが目安 ・ターゲットのユーザーに合わせたメニュー構成が必要 |
ローカルナビゲーション | ・同一の階層ページをリスト表示する ・上位階層および下位階層への移動が可能に ・階層構造の直感的な理解を促す ・現在表示されているページを明確にする |
ブレッドクラムナビゲーション | ・ユーザーが迷子になるのを防止する |
PDCAサイクルを回し改善を行う
PDCAサイクルとは
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Act(改善)
それぞれの頭文字を取ったものです。
PDCAサイクルを回す上で重要なのは、目標値の達成度だけではありません。
大切なのは目標の達成までの指標を細かく分解することと、その分解された要素も数字で計測可能であることです。
Webサイトをとりまく状況は常に変化し、計画に対してある程度の変更を加えることは致し方ないでしょう。
ただし、変更を加えるほど設定していたKPIの効果が薄れてしまい、適切な評価ができない環境を作り出してしまいます。
そのため、PDCAのサイクルは長く設定せず、1か月から3か月程度で効果を評価し、改善できるようにするのが望ましいです。
PDCAサイクルのフェーズによって重要なポイントが異なります。
フェーズ | ポイント |
Plan(計画) | 実現可能な目標設定 |
Do(実行) | 計画に沿った実行 |
Check(評価) | 迅速な評価 |
Act(改善) | 効果的な改善案の立案 |
サイト動線の分析に重要な5つのポイント
導線の設計は、Webサイトをリリースした後も改善し続けなければなりません。
なぜなら、Webサイトをとりまく外部の環境は変化し続けるからです。
ここではとくに重要な
- アクセス解析をもとに分析する
- アクセスの全体量と概要を把握する
- 時間軸での変化を抽象化する
- 閲覧開始ページ・離脱ページ・流入元を把握する
- ユーザーの関心が高いカテゴリーの傾向をつかむ
以上、5つのポイントを詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
アクセス解析をもとに分析する
アクセス解析はサイト設計の成果を定量的に判断するための材料になります。
最初に大局をつかんで分析の過程で深掘りし、ミクロとマクロの視点を行き来して精度を高めることが重要です。
KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)を再確認したら、アクセス解析ツールを中心に現場のアクセス状況を分析しましょう。
先入観を取り払って、通常は深掘りしないところまでよく観察し、ウェブサイトの全体的なヘルスチェックを行います。
数値を分析するポイントは局所最適のためではなく、全体最適をするための分析を行うことも念頭に置くことです。
全体での流れが悪いところを見極めたり、今後も活かすべきポイントを洗い出します。
詳しくは「Googleアナリティクスの見方を解説!ページビューをGA4で確認する方法は?」の記事をご参考にしてください。
アクセスの全体量と概要を把握する
対象期間を絞り、訪問数やPV(ページビュー)数やUU(ユニークユーザー)数などサイトアクセスの全体量を把握します。
まずはコンテンツごとのアクセス数のリストを作成し、アクセスが多いページを把握してください。
ユーザーの属性を大まかに把握して年齢層や性別などの属性を確認し、各ページの年齢性別ごとの概要をつかみます。
ここで大きな変化があるページは深掘りする対象としつつ、全体の傾向を掴むところにとどめておくことがポイントです。
また、ユーザの閲覧環境の状況も認識しておきましょう。
モバイルからのアクセス比率や、アクセスに使用しているブラウザなど、サイトを設計する際に大きく影響する情報を把握しておきます。
時間軸での変化を抽象化する
ユーザがアクセスする時間帯の変化・曜日における変動・季節による変動を把握します。
アクセスする時間帯によって、日中のビジネスアワーに利用されているサイトなのか、あるいはアフターファイブ以降に利用されているのか、サイトの利用動向を再確認しましょう。
それと同時に曜日ごとの変動を把握することによって、ユーザがどのようにサイトを利用しているのか、ライフスタイルを推測できたりするようになります。
これは事前に取得したユーザ属性情報と合わせて仮説を立てることで、ターゲット像の検証にも利用できるため、複数の期間で検証することを心がけてください。
また扱っている商材にかかわらず、季節性の変動もあるので年間の変動なども理解し、施策に注力すべき季節や時期も再確認しましょう。
閲覧開始ページ・離脱ページ・流入元を把握する
ユーザがどのページにランディングして、どのページで離脱しているのかを確認して、サイト内におけるユーザの経路を把握します。
ユーザはどういった意図でどのようにサイトに訪れ、なぜ離脱してるのかの仮説を立てることは、経路の改善に役立ちます。
また、ランディングページのURLとアクセス量などを把握すれば、後続の設計フェーズにおいてURLの設計やリダイレクト処理の検討にも活用できるでしょう。
ユーザーの関心が高いカテゴリーの傾向をつかむ
ユーザが興味のある領域を分析すれば、最初に設定したターゲットにサイトのコンテンツが届いているかを把握できます。
現状のサイト訪問者のうち、ビジネスのターゲットになり得る人の割合はどれくらいなのか、その割合を高めるにはどのような施策を行えば良いか判断基準として活用してください。
現状におけるサイトのユーザはどのようなユーザなのかを知ることによって、ターゲット像の精度を向上させましょう。
ここでの情報はペルソナの分析やカスタマージャーニーマップの作成において、とても有用な情報となります。
まとめ
この記事では、導線と動線の違いや、それぞれを設計・分析しサイト改善に役立てるポイントについてご紹介しました。
重要なことは、「ユーザーの立場になって考える」ことではないでしょうか。
ユーザーの気持ちや目的に寄り添うサイト設計ができていれば、自然に回遊性も上がり、サイト数値も向上していくはずです。
これからもユーザーの気持ちに寄り添いながら、導線の改善を続けていきましょう。
ぜひ本記事を参考にして、動線を分析したり、ユーザーの気持ちを考察したり、目指すべき姿を考えてみてください。
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